デザイナーなら知っておきたい定番の欧文フォント【セリフ体】

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デザインに大きな影響を与える要素のひとつがフォントです。どんなフォントを選ぶのかはデザイナーの腕の見せどころでもあります。そのためにはまずフォントのことを知っておくことが大事。

ということで、デザイナーなら知っておきたい定番の欧文フォントをご紹介します。今回はその中でも「セリフ体」に絞ってご紹介。ちなみに「サンセリフ体」こちらでご紹介しています。

デザインをする上で重要なことは沢山ありますが、その中のひとつが「フォント」です。フォントの選び方ひとつでデザインの善し悪しがガラッと変わることもあります。それくらい重要なフォントの選定。う...

Caslon

Caslon(カスロン)は1734年にイギリスのWilliam Caslon(ウィリアム・カスロン)によって制作された書体。

活字時代には「迷ったらCaslonで組め」と言われたほど使い勝手の良い書体です。またアメリカの独立宣言書に使われた書体としても知られています。

古典的ながら優雅で上品な印象がある書体ですね。

現在のCaslonは様々なフォントメーカーが制作していて、いろんな種類があるのが特徴ですが、IllustratorなどのAdobeソフトウェアにバンドルされていることもあり、「Adobe Caslon」が一般的だと思います。

Garamond

Garamond(ガラモン)は16世紀にフランスのClaude Garamond(クロード・ガラモン)が制作した活字を元にした書体。

デザインの現場では必ず見かけるといっていいほど有名です。セリフ体の代表格。癖がなく、可読性に優れているので本文、見出しともに使われる汎用性の高い書体です。

Garamondは様々な種類がありますが、Caslonと同じく「Adobe Garamond」が一般的な書体となっています。ちなみに「ギャラモン」と読んだりもします。

Baskerville

Baskerville(バスカヴィル)は1750年代にイギリスのJohn Baskerville(ジョン・バスカヴィル)によって制作された書体。

バスカヴィルの書体は自国では不評ながら、他国では賞賛されるという複雑な評価を受けていたようです。ですが今ではイギリスを代表する書体のひとつと言われるほど広く知られています。伝統的、高貴な印象のある書体です。

ちなみに「バスカービル」と呼ぶ人もいるようで、自分もバスカービル派。

Times New Roman

Times New Roman(タイムズ・ニュー・ローマン)は1932年にイギリスの新聞「The Times」のために制作された書体。

新聞用に作られたこともあって、可読性に優れていて、小さいサイズでも読みやすいように配慮して設計されています。新聞用なのでシャープで誠実な印象がありますね。どんなケースでも使いやすい書体だと思います。

Trajan

Trajan(トレイジャン)は約2000年前にローマに建てられたトラヤヌス帝記念柱の碑文をベースに制作された歴史のある書体。

デジタルフォントとしての「Trajan Pro」は1989年にAdobeの書体デザイナーCarol Twombly(キャロル・トンブリー)によって制作されています。

めちゃめちゃ歴史のある書体。2000年前の時代には小文字がなかったので小文字はスモールキャップスとなっています。

スモールキャップスとは小文字と同じ高さで作られた大文字のこと。

上品さ、高級感、厳格な威厳すら感じる佇まいが特徴で、映画のタイトルに使われているのをよく見かけます。タイタニックが有名ですね。

Palatino

Palatino(パラティノ)は1950年にドイツのHermann Zapf(ヘルマン・ツァップ)によって制作された書体。

古典的な骨格でありながら現代的な印象を持っていて、直線的なセリフが独特の雰囲気を作り出しています。

書籍や雑誌の見出しや本文によく使われていて、特にイタリック体が美しく、化粧品などの広告によく使われています。

Bodoni

Bodoni(ボドニ)は19世紀初期にイタリアのGiambattista Bodoni(ジャンバティスタ・ボドニ)によって制作された活字を元に作られた書体。

機械的な直線のラインが特徴的な、モダンで洗練された印象のデザインです。今でもよく見かける現役バリバリの人気書体だと思います。よく似た書体にDidot(ディド)がありますが、Didotよりも縦方向のラインが太いため、より力強い印象があります。

Didot

Didot(ディド)は18~19世紀にフランスのFirmin Didot(フェルミン・ディド)によって制作された活字を元に作られた書体。

Bodoniとあわせてモダン・ローマン体を代表する書体です。女性的・高級感・上品さといったイメージがあります。

ハイブランドファッション誌「VOGUE」のロゴをはじめ、ファッション系の雑誌でもよく見かける書体です。Bodoniと同じく現役バリバリの書体ですね。

Sabon

Sabon(サボン)は1967年にドイツのJan Tschichold(ヤン・チヒョルト)によって制作された書体。

Garamondを参考に作られたと言われています。柔らかい雰囲気がありつつ知的で品の良い、紳士的な印象があります。

後にフォントメーカーであるLinotype社から、より美しくエレガントに改刻された「Sabon Next」が発表されています。

Minion

Minion(ミニオン)は1950年にAdobeのRobert Slimbach(ロバート・スリンバック)が制作した書体。

シンプルでありながら曲線部に程よい丸みがあるので、柔らかな印象があります。癖が少なくて使いやすい書体ですね。

Cochin

Cochin(コシャン)は1912年にフランスのGeorges Peignot(ジョルジュ・ペイニョ)によって作られた活字をベースに制作された書体。

丸みがありつつもシャープな印象を持つ洗練された雰囲気が特徴です。

Clarendon

Clarendon(クラレンドン)は1845年にイギリスのRobert Besley(ロバート・ベズリー)が制作した書体。

この書体はいわゆるスラブセリフ書体で、セリフ部分が縦横同じように太くなっていて、大きな特徴になっています。

個人的に好きな書体です。力強さがありつつもどこかかわいらしい印象もあり、この二面性が魅力のひとつですね。個性的なビジュアルに反して、意外と使いやすい書体だと思います。

有名なところではSONYのロゴタイプがこの書体をベースにデザインされています。

まとめ

いかがだったでしょうか。まだまだ定番の書体はありますが、個人的に思いつく書体をご紹介しました。

歴史のある超定番ばかりなのでクオリティはお墨付きですし、使わない手はないと思うんですよね。サンセリフ体と比べて使用する機会が少ないような気がするセリフ体ですが、その分、効果的に使えばグッとデザインが良くなると思っています。

セリフ体でいつものデザインに違いを生み出してみるのもいいんじゃないでしょうか。

では、良きデザインライフを!

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