トンボ?ベタ?デザイナーなら知っておきたいデザイン業界専門用語【実務編】

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どうも。グラフィックデザイナーのケンスです。

どこの業界にもあると思うのですが、その仕事現場で使われる「専門用語」がありますよね。もちろんグラフフィックデザインの現場でも様々な専門用語があります。特にデザイナーになりたての人にとってはチンプンカンプンかもしれません。

「ト、トンボ?」「あの昆虫の?」

「ノド?」「喉は枯れてないけど?」

などと意味不明なことを言っていた時期もありましたよね……。

ということで僕みたいな恥ずかしい思いをするデザイナーを一人でも減らすために、グラフィックデザイナーなら知っておいた方がいいデザイン業界専門用語をご紹介します。

今回は実際のデザイン制作作業の際によく飛び交う言葉を選んでみました。ちなみにクライアントとのやり取りや印刷関係の専門用語はこちらで解説しています。

グラフィックデザインの現場では様々な専門用語が飛び交っています。 クライアントや印刷会社の人とのやり取りの中で「???」となったことはありませんか?僕もデザイナーになりたての頃は「こ...

サムネ

デザインの最初のアイデア出しの時に描く簡単なメモ程度のスケッチのこと。サムネイル(thumbnail)の略でサムネ。

別の意味では画像や印刷物などを表示する際に視認性を高めるために縮小させた見本、ということもあります。こちらの方が一般的ですかね。

デザイナーになりたての場合、上司やアートディレクターから「まずはサムネ描いてみて~」という指示をされることが多いですね。

ラフ

デザインのレイアウトイメージを簡単な下書きとして描いたもの。

原寸サイズで手描きしたり、デザインソフトを使ってデジタルでざっくり作ったり完成形に近いところまで作り込んだりと、ラフの定義はデザイナーによって変わってきます。

要は「こんな感じで作るよ」ということがわかる状態ですね。音楽でいうところの「デモ音源」のイメージでしょうか。

サムネを元にラフを作るのですが、サムネなしでいきなりラフを作ることもあります。「絶対手描き!」派もいれば、「いきなりデジタル」派もいて人それぞれ。個人的には手描きの方がいいと思っています。

カンプ

広告や印刷などデザインの完成見本をプリンタで出力したもの。

このカンプをクライアントに見てもらってOKだったりチェックバックだったりの意見をもらいます。正式にはコンプリヘンシブレイアウト(comprehensive layout)といい、略してカンプと呼んでいます。

基本的には紙にプリントしたものをカンプと呼びますが、最近ではプリントせずにPDFのみでのやり取りも増えています。僕はその場合「カンプPDF」と勝手に呼んでいます。

要は紙でもPDFでも「デザインの完成見本」がカンプということですね。

トンボ

印刷物を作成する際に、仕上がりサイズの角と辺の中央に配置する目印のこと「トンボ」と呼びます。

上の画像のグレーの範囲が印刷物の仕上がりサイズで、その周りにある線がトンボです。角にある4つのトンボを「角トンボ」「裁ちトンボ」といい、その間にある4つのトンボを「センタートンボ」といいます。

印刷物は仕上がりサイズよりも大きい紙に印刷してそれを切り落として使います。例えばA4サイズのフライヤーだと、A4の紙に印刷することはまずありません。

A4より大きな紙に印刷し、さらに断裁してA4サイズにするのが普通です。その際に必要なのがトンボ。このトンボを目印に断裁するのでめっちゃ重要なやつなんです。

角トンボの内側の線を結んだ部分(赤い点線部分)で裁断します。

他にもカラー印刷の場合のCMYKそれぞれの版の見当合わせのためにも必要です。トンボなしで入稿したらだいたい怒られますので要注意。

マージン

印刷物の本文や内容が収まる範囲の外にある余白部分のこと。単に「余白」という場合もあります。

雑誌や書籍などページ物の場合、その位置によって「天」「地」「ノド」「小口」と呼び分けます。ちなみにマージンを除いたレイアウトスペースを版面(はんづら、はんめん)といいます。

このマージンをどう取るかでデザインの印象が大きく変わるのでとても重要な要素です。風格あるデザインだったり、ポップで元気なデザインだったり、デザインそのものだけでなく、「余白」で印象を操作するのもデザイナーの腕の見せどころです。

台割り

雑誌・書籍などのページ物を作る際に、全体のページの割り振りを決めること「台割り」と呼びます。

デザイン制作の前に、特集ページがどこからどこまでで何ページ割くのか、ページの流れに問題はないか、などを決めます。ページ物を制作する時にとても重要な作業のひとつになります。

ペラ

1枚の用紙でできている印刷物のこと。

ポスターやチラシ、フライヤーなど1枚、単体の印刷物のことですね。ペラ1(ペライチ)ペラものと呼んだりもします。

A全・B全

用紙サイズのA1のことを「A全」B1のことを「B全」と呼びます。ポスターの案件でよく聞く言葉ですね。

ちなみにA全の倍、つまりA0サイズは「A倍」B0サイズは「B倍」と呼びます。

アタリ

デザインやレイアウトの際に一時的に使う画像やイラストのこと。

本番では使わないダミーの画像やイラストのことです。例えばデザインのイメージがわかるように購入前のストックフォトの画像を使う場合があるのですが、これがアタリ。

その後クライアントのOKが出てから本画像に差し替える、といった流れになります。

ベタ

インキ濃度が100%の色、または100%同士の掛け合わせによる色での印刷のこと。ベタ刷りともいいます。

例えばCMYKのC100%のカラーやC100%+M100%のカラーで塗りつぶされた範囲をベタと呼びます。ですので例えばC80%の場合はベタとは呼びません。

印刷的には100%以外はベタではないのですが、デザイン制作時にはある範囲を塗りつぶすことを単純にベタと言うこともあります。「背景全面ベタで行こう」とかそんな感じ。うまく使い分けてください。

また文字組みの際に文字と文字の間を詰めたり広げたりせず組むこともベタといいます。ベタ組みとも。デジタルだと文字詰め情報を何も設定せず字間0で組むことですね。

アミ

印刷物は基本的にCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のインキを使い、それぞれの小さな色の点の集合で表現します。その点のことを「アミ」「アミ点」と呼びます。

デザイン的には単純にベタではない、薄い色の塗りつぶしの意味で「アミ」、または「色アミ」を使うことが多いです。C20%の色で塗りつぶすことを「C20%のアミ(色アミ)をかける」といった具合ですね。

白ヌキ

写真やベタ、アミの部分の上にある白い文字や図形などの色のこと。

印刷では特色を除き、基本的に「白」という色(インキ)はなく、紙の白をそのまま生かすことで「白色」を表現します。ですので文字や図形で下の色を「抜く」ことで白色を作ります。このことを「白ヌキ」と呼びます。

色アミの上に、同じような濃度の文字を置いた時にコントラストが弱く読みにくい場合があります。そういう時に「その文字、白ヌキにして」といったような感じで使います。

スミ

印刷の色指定で黒(ブラック)のこと。

印刷の世界では黒(ブラック)のことを「スミ(墨)」と呼ぶ習慣があり、なぜか黒とはあまり呼びません。

黒のベタは「スミベタ」、グレーは「スミアミ」と言ったり。モノクロ印刷は「スミ1色」

金赤

色の名前のひとつで、端的に言えば「赤」のこと。キンアカと読みます。

JISの色彩規格では「あざやかな黄赤」となっています。デザイナー的にはチラシの価格やタイトルなど、特に目立たせたいところによく使う色ですね。一般的にはM100%+Y100%で表現します。

ここで注意なのですが、この金赤、人によって定義が違うことがあります。厳密には金赤は特色なのでM100%+Y100%のことではないという人もいますし、朱色がかった赤色のことを指す人もいます。

現場の慣例としてはM100%+Y100%のことを指す場合が多いのですが、そうじゃない場合もあるという認識は持っておいた方がいいです。クライアントの思う金赤とデザイナーの思う金赤が違うとなったら、色々と大変なことになりますので。

イキ

校正用語で「そのまま」や「いかします」という意味で使われるのが「イキ」です。「ママイキ」「モトイキ」と呼ぶこともあります。

例えば修正指示で「この部分はイキで」と言われれば、該当部分はそのままにするという意味になります。

トルツメ

こちらも校正用語で不要な文字・記号などを削除し、その後を詰めること。

単に「トル」ともいいますが、厳密には「とって空いたスペースをツメる」のでトルツメ。逆に詰めない場合は「トルママ」「トルアキ」といいます。

口頭では「この部分はトリで」というように「トリ」ということもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。個人的によく使ったり聞いたりするものをピックアップしてみましたがこれでもまだまだごく一部。

他にも専門用語がありますが、これらの用語がクライアントやディレクター・デザイナー、また印刷会社との間でバンバン飛び交うので、ひとつでも覚えておくとコミュニケーションがスムーズにいくと思います。

まだ新人デザイナーの方やこれから目指す方に向けて、少しでも参考になれば嬉しいです。

では、良きデザインライフを!

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